ロンドン:ロンドン日本文化センターの活動報告(2008.05)

ロンドン日本文化センター

topic_0805_london.jpgロンドン日本文化センターでは、さまざまなかたちで英国の日本語教育をサポートしています。教師研修や教材開発といった先生を対象とする事業が中心を占めますが、学習者のための奨励事業も実施しており、ここでは最近実施した2つの事業をご紹介したいと思います。

まず、2月に実施した「大学生のための日本語スピーチコンテスト」です。3回目となる今大会には英国内の14大学から応募があり、インペリアル・カレッジで開催した本選では10人のファイナリストが日ごろの勉強の成果を競いました。日本語専攻の部で優勝した学生は、「日本人の思いやり」と題するスピーチのなかで、小説『佐賀のがばいばあちゃん』を例にひきながら、相手に気づかれないように配慮するところに日本人の思いやりの特徴があると説得力のある説明をしてくれました。スピーチのレベルも年々向上し、我々が見過ごしている意外な点に気づかせてくれたり、日本人に対する意欲的な提言があったりと、150名を越す聴衆もたいへん満足したようです。

また、「日本語で学ぶ日本文化講座/Talking Contemporary Japan」という日本語上級講座も開講しています。これは、日本語能力試験2級以上の人を対象に、日本の文化や社会について学びながら日本語の四技能を伸ばすことを目標とした4回完結の講座です。これまで、テレビのニュースや新聞を素材に時々の社会問題について討論したり、あるいは沖縄といった特定の地域をとりあげて、その文化や歴史などについて考えるという企画をたててきました。2月の講座では、黒澤明監督の「夢」という作品を鑑賞しながら、人間と自然との関わり、環境問題、死生観などについて語り合いましたが、日本人と英国人の考え方の違いも明らかになり、興味深い内容になりました。日ごろの日本語教育支援事業では、どうしても学校教育レベルが中心になるため、成人の学習者と接する機会が乏しいのが実情です。この講座には、音楽家やシティで働く金融マン、自然科学系の研究者などもリピーターとして参加してくれており、こうした事業を通じて日本語を話す「日本ファン」のネットワークを拡げていきたいと考えています。

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